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英語の速読に必要な5つのスキルとは?速読をマスターするポイントも紹介
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「速読」とは、読んで字のごとく、速いスピードで文章を読むことです。英語学習を進めるなかで、「自分は英文を読むのが遅い気がする」「どうしたらもっと速く読めるのだろう」と悩む方は少なくありません。「速く読もうとすると、内容が頭に入ってこなくなってしまう……」という悩みもよく耳にします。
そこで今回の記事では、英語の速読に焦点を当て、速く読むために必要なスキルとは何なのか、そして速読をマスターするにはどういったトレーニングに取り組めば良いのかを解説します。英語を読む速度に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
英語の速読スキルを身に付けるメリット
英語を速く読めると、さまざまな場面で以下のようなメリットが得られます。
資格試験のスコアが上がる
英語の資格試験にはさまざまなものがありますが、多くの試験で受験者を悩ませるのが「時間が足りない」という問題です。例えば、TOEICのリーディングセクションなど、あと少し時間があれば目標スコアに届いたのに……と悔しい思いをしたことのある方も多いかもしれません。
このように、限られた時間でたくさんの文章を読まなければならない場面で、英語の速読ができると有利になります。時間的な余裕ができれば、難しい問題や自信のない箇所をじっくり考えることも可能になり、スコアアップが期待できるでしょう。
したがって、資格試験の成績を上げてキャリアアップなどにつなげたい場合には、速読トレーニングは有効な手段といえます。
資料・文献調査のスピードが上がる
仕事や研究といった場面において、良質な資料・文献を探し出すスキルが求められるケースはよくあります。役立つデータや情報に出会うには、ある程度たくさんの資料・文献をチェックする必要があり、そして質の良い情報は、英語で発信されていることも多いものです。
英語の速読スキルを身に付けて、英文の大意を素早くつかめるようになれば、資料や文献をリサーチする際の効率が上がります。自分やチームが現在取り組んでいる問題に対して、役立つ情報はいったいどれなのか、スピーディーに判断することが可能になるのです。
正しい情報に基づく、説得力のある仕事をするためにも、速読トレーニングは有効だといえるでしょう。
メールでのコミュニケーションが円滑になる
ビジネスにおいて、時間は非常に重要なリソースです。英語でのやりとりが発生する職場では、英語を読むスピードが仕事の効率に直結する、といっても過言ではありません。
英文メールを読んですぐに理解できれば、業務効率が上がるだけでなく、素早いレスポンスで信頼を高めることもできます。
英語コミュニケーションをスムーズにするためにも、速読は重要なスキルといえます。
多読学習がスムーズに進む
英語の速読スキルを身に付けることで、英語学習の効率をさらに上げることも可能です。
英語を読むスピードが速ければ、同じ時間のなかで多くの英文を読めるため、多読学習のペースを加速させられるでしょう。英語のインプット量を増やしたいと考えている方にも、速読トレーニングをおすすめします。
なお、多読に関しては以下の記事でも解説しています。興味のある方は、ぜひ併せてご覧ください。
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英語多読の効果とは?6つのコツと無料のおすすめ教材を紹介
英語を速読できる人が持っている5つのスキル
速読力をつけるには、実際に速読できる人の特徴をよく理解しておくことが大切です。英語を速く読む人は、そうでない人に比べてどのような部分に長けているのか、見てみましょう。
語順どおりに英語を読み、理解できる
「返り読み」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。返り読みは英語の読み方の一種で、簡単に説明すれば、日本語の語順で英語を訳していく方法のことです。
日本語では述語にあたる動詞が最後に来ますが、英語では主語のすぐあとに動詞が置かれます。そのため、日本語と同じように読もうとすると、いったん英文の最後まで目を通してから、文頭のほうに戻ってこなければなりません。
この返り読みは、日本人が英語を素早く読めない原因として、非常に典型的なものです。学校での英文和訳をこなすうちに、返り読みをする癖が付いてしまったという方も多いでしょう。
しかし、英語の速読ができる人は返り読みをせず、英語の語順どおりに内容を把握しています。前から順番に理解するので、何度も同じところに返って読み直す必要がない分、読解スピードが上がるのです。
英語のかたまりで意味を把握できる
連語や熟語などのかたまりで意味を理解できる人は、英文をすらすらと読むことができます。複数の語のかたまりを「チャンク」といい、チャンクごとに英語を読んでいくことを「チャンクリーディング」と呼ぶこともあります。
「自分は英語を読むのが遅いな」という自覚がある方は、一語ずつ意味を考える癖があるのかもしれません。同じ単語でも前後のつながりによって意味は変わるため、一語一語の意味をそれぞれ考えていると、どうしても読むスピードが遅くなりがちです。
英文を適切な位置で区切るには、連語・熟語や単語と前置詞の関係、文構造などに関する知識が必要になることも知っておきましょう。
英語を英語のまま理解する思考回路を持っている
英語を読むときに、一度頭のなかで日本語に訳してから理解しようとすると、どうしても読むスピードが遅くなってしまいます。
速読が得意な人は、英語とそれが表す意味と内容を直結させてとらえています。日本語に訳すという行為がない分、素早く意味を理解できるのです。
このように、英語を英語のまま理解する思考回路は、リーディングだけでなく、リスニングやスピーキングにも必須のスキルでもあります。
英語のリズムに慣れている
どの言語にも、それぞれ固有のリズムがあります。英語を速読できる人は、英語のリズムに乗って英文を読み進めているため、スムーズに文章を読み進めることができます。
英語のリズムに慣れていない方は、無意識のうちに日本語のリズムで英語を読もうとしてしまいます。しかし、言語の特性と頭のなかのリズムが合っていないと、スムーズに読み進めることは困難です。
基本的な語彙力・文法知識がある
「速読が苦手」と感じる方のなかには、語彙や文法の基礎知識が不十分であるために、「たとえゆっくりでも、正確に英文を読めない」という方もいます。
一方、速読ができる人は、基本の語彙と、構文をつかむための文法知識を身に付けているため、スムーズに精読も速読もできるのです。
英語を読むのが遅いと感じたときには、ただ速度だけの問題なのか、それともゆっくりでも正しく読めていないのかを見極めましょう。もし、ゆっくりでも曖昧にしか理解できていないと気付いたら、基礎的な語彙と文法を確認し直すほうが良いかもしれません。
英語速読をマスターするための7つのポイント
ここからは、速読スキルを身に付けるためには、どのようなポイントに気を付ければ良いか、またどのような方法で学習に取り組めば良いかなどを具体的に解説します。
英語思考を身に付ける
英語を英語のまま理解する思考回路、「英語思考」は、速読に必須ともいえるものです。
英語思考を身に付けるために一番大切なのは、普段の心がけです。英文を見たり、英語を聞いたりしたとき、日本語訳を一切挟まずに、英語から直接意味・内容をイメージする訓練を積み重ねましょう。
先述のとおり、英語思考はリーディングのみならず、他の3技能(ライティング、リスニング、スピーキング)のためにも極めて重要なスキルなので、ぜひ身に付けておきたいところです。
目の前にある英文と、その意味・内容を直結する回路がまだ太くないうちは、日本語を介さずに考えるのが難しいと感じるかもしれません。しかし、地道に意識し続けることで、少しずつ思考回路が強化されていきます。
最終的には、英語を読んだり書いたり、聞いたり話したりしようとした際に、自動で「英語モード」に切り替わる状態を目指しましょう。
関連記事:
英語思考を自動化する4つのポイントとは?日本語との思考の差異も解説
英語のリズムを身に付ける
リーディングには、音声面のトレーニングは不要と思われがちかもしれません。しかし、目だけで文章を読むときにも、人はリズムに乗って言葉をインプットしています。そのため、英語のリズムを習得することが、リーディングをスムーズにするためのポイントの一つでもあるのです。
比較的平らに発音される日本語とは異なり、英語は非常に抑揚の大きな言語です。そういった英語のリズムについてまずは頭で理解し、それから身体でも覚えていきましょう。
正しい英語のリズムを習得するには、ネイティブスピーカーの指導のもとでトレーニングを重ねるのが理想的ですが、お手本の音声を使って独学で練習することもおすすめです。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
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英語はリズム感が超重要!4つの基本ルールと簡単トレーニング法を紹介
基本的な語彙力を増やす
ある程度の語彙力がなければ、英文を速く読むどころか、ゆっくり読むことも不可能です。「自分は英語を読むのが遅い」と思っていたけれど、実は時間をかけても曖昧な理解しかできていなかった……というケースは意外とよくあります。
最低限のレベル、目安としては中学レベルの単語帳を1冊マスターしておきましょう。以下の記事では、単語を効率良く覚える方法などを紹介しています。ぜひ併せてチェックしてみてください。
関連記事:
英会話の単語学習は中学レベルからでOK!目的に合わせた習得法も紹介
基本の文法知識を身に付ける
英語を読む速さに大きく関わるのが、構文の把握力です。構文を一瞬でつかむためには、基本文法をマスターしておく必要があります。
文法知識のなかでも特にしっかり押さえておきたいのは、語順に関するルールと5文型です。基本的な文法書を一冊用意して、語順と5文型の部分をまずマスターしましょう。
なお、文法書を頭からすべて完璧にしようという気持ちで取り組むのは、あまりおすすめできません。そういった方法で文法書を使うのは、効率的ではないからです。文法の学習法については、こちらの記事もご覧ください。
関連記事:
英会話に文法は必要?知識を実践につなげるための学習法とおすすめ教材
指やペンでなぞりながら読む
速読のためには、難しいところや読みづらいところでスピードをゆるめず、一定以上の速度を保って英文を読んでいくことが大切です。そのための訓練として、指やペンで英文をなぞりながら読み進めるという方法があります。
なぞり読みをすることで、自分がどのようなスピードで英語を読んでいるのかが視覚化されます。難しいところで淀まず、次々進んでいくことを意識しやすくなり、速読の感覚が徐々に身に付いていくはずです。
スラッシュリーディングに取り組む
返り読みをなくすための手法として、「スラッシュリーディング」をおすすめします。
スラッシュリーディングは、意味のかたまりごとにスラッシュ(/)を書き込みながら英文を読んでいく方法で、「区切り読み」ともいわれます。
いくつか例を見てみましょう。
・I bought this hat / at a store / in front of the station.
私はこの帽子を買いました / ある店で / 駅前の
・I will never forget / the time / when we first met.
私は忘れないでしょう / そのときを / 私達が初めて会った
このようにスラッシュを引き、前からかたまりごとに意味をとっていく練習をしてみましょう。最終的には、スラッシュなしでも、かたまりで把握できる状態を目指します。
ディスコースマーカーに着目して読む
話の流れや構造を示してくれる目印となる、ディスコースマーカー(Discourse marker)を見つけようと意識するのも効果的です。
代表的なディスコースマーカーを、意味ごとにいくつかリストアップしてみました。
言い換え・要約 | in short, in brief, shortly, briefly, in other words, or, which means, which is, :(コロン) |
逆接 | but, however, yet, although, though, even if, nevertheless, otherwise |
例示 | for example, for instance, e.g., :(コロン), ―(ダッシュ) |
列挙 | one(…another), first, firstly, to begin with |
追加 | also, in addition, additionally, besides, moreover, furthermore |
結果 | in conclusion, as a result, therefore, thus, consequently |
事実 | in fact, actually, on the whole, in general |
筆者の心情 | frankly, actually, unfortunately, be afraid, honestly |
これらの語を見つけたら、それを目印として、その次に続く内容を予測してみましょう。それだけで、英語の内容を素早く理解しやすくなります。
英語の速読スキルを身に付けて、知識型学習を加速させる
英語を速く読めるようになると、さまざまな面でメリットを得られます。
英語の速読が得意な方は、英語の語順どおりでかたまりごとに内容を理解しています。文法力や語彙力があったうえで、英語のリズムに乗り、英語を英語のまま理解していることも、読むスピードが速い方の特徴です。
速読スキルを身に付けたいと考えている場合は、ぜひ今回紹介した学習方法を取り入れて、速読に挑戦してみてください。
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