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シャドーイングで英語力は上がる?レベルに応じた学習のポイントを解説
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英語の学習に取り組んでいる方なら、「シャドーイング」という学習方法を一度は聞いたことがあるでしょう。インターネット記事やSNSで「シャドーイングで英語力が上がった」という体験談を見て、シャドーイングを学習に取り入れた方もいるかもしれません。
シャドーイングは、聞くプロセス・話すプロセスをどちらも含んでいるため、リスニング力とスピーキング力を両方鍛えたい方には魅力的に映るでしょう。しかし、適切なタイミング、かつ正しい方法で実施しなければあまり効果は期待できません。
そこで今回の記事では、シャドーイングの方法やレベル別の学習のポイントを解説します。効率的に英語を学びたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
記事の目次
シャドーイングとは?
シャドーイングという言葉は何度か聞いたことがあっても、具体的にどういった学習方法なのか詳しくは知らない、という方もいるかもしれません。そこでまずは、シャドーイングとはどういったものかを確認しておきましょう。
シャドーイングは、もとは同時通訳向けの訓練法
「シャドーイング(Shadowing)」とは、英語の音声を聞きながらそれを真似して発音する学習方法のことです。英文をすべて聞いてから繰り返すのではなく、音声より1~2語ほど遅れて、すぐ後ろを影(Shadow)のように追いかける形で発音します。
シャドーイングでは、練習の途中でテキストを見ることもありますが、最終的には英文を見ずにそっくり真似できる状態にします。音声によるインプットだけで意味を理解し、即座に音声でアウトプットできる状態を目指すのです。
聞くプロセスと話すプロセスを同時に行なうシャドーイングは、とても負荷の高いトレーニングであり、もともと同時通訳者の訓練法として活用されてきました。しかし、昨今は注目され、第二言語の習得にも用いられています。
「プロソディ・シャドーイング」と「コンテンツ・シャドーイング」
シャドーイングには、「プロソディ・シャドーイング」と「コンテンツ・シャドーイング」の2種類があり、行なう目的や意識するポイントが異なります。それぞれどのようなシャドーイングなのか、見ていきましょう。
プロソディ・シャドーイング
「プロソディ」とは、第二言語習得研究において、リズムやイントネーションを指す用語です。つまり、プロソディ・シャドーイングは、音声を正確かつ素早く復唱することを目的として、発音に意識を置いて行なうシャドーイングです。発音やリズム面、発声法も音声とそっくりに再現できるよう、トレーニングを重ねます。
コンテンツ・シャドーイング
コンテンツ・シャドーイングは、英語の意味を理解し、ニュアンスを把握することを目的として、音声の内容(コンテンツ)に意識を置いて行なうシャドーイングです。音声を文字に直したり日本語に訳したりすることなく、聞いたそのままで意味を理解し、そのままアウトプットできる状態を目指します。
これらの方法をどのように組み合わせるかは、のちほど解説します。
シャドーイングが初級者には効き目がない理由
シャドーイングは、英語上級者向けの学習法です。初級者が基礎的なスキルなしにシャドーイングを行なっても、効果はほとんど期待できません。残念ながら、再現性のあるスキルは身に付かないでしょう。
まず、基礎スキルが習得できていない状態では、そもそも英語音声をほとんど聞き取れません。英語初級者は、後述する基礎スキルの習得を最優先しましょう。
「スピーキングは苦手だが、リスニングは得意なのでシャドーイングでスピーキング力を高めたい」という方もいるかもしれません。しかし、そのリスニング力は本物とはいえない可能性があります。なぜなら、人は基本的に自分で話せない音を、意味のある音として認識できないからです。
「スピーキングは苦手だがリスニングは得意」と思っている場合、シャドーイングに取り組む前に、これから紹介する基礎スキルの習得を通じて、スピーキング力を向上させることをおすすめします。
【初級者・中級者向け】シャドーイングの前に身に付けたい基礎スキル
シャドーイングの効果を得るためには、英語におけるリスニング、スピーキングの土台となる基礎スキルをはじめに身に付けておく必要があります。ここでは、英語の基礎スキルの内容と習得のポイントを見ていきましょう。
4つの基礎スキルをまず習得しよう
英語の基礎としてまず身に付けたいのは、「発声法」「音」「リズム」「英語思考」の4つのスキルです。それぞれのスキルを簡単に解説します。
発声法
英語と日本語では、声の出し方が異なります。日本語は額や鼻先あたりの浅い場所で発声する言語ですが、英語は喉や胸など深い場所で発声する言語です。英語には、英語の発声でなければ出せない音があるので、伝わる英語を話すためには英語の発声法が必須といえます。
喉仏を下げて喉の空間をぐっと広げ、声帯をしっかり震わせて、よく響く太い声を出すのが英語発声のコツです。
関連記事:
英語上達のカギは「発声法」にあり!トレーニングの方法やポイントを解説
音
英語には、日本語にはない音がたくさんあります。そうした英語の音を一つひとつマスターしていくことが、「正しい発音」への第一歩です。
いきなり単語や文章の発音練習をするのではなく、まずは各アルファベットの音を習得することから始めましょう。そうすれば、あらゆる単語や文章に発音スキルを応用できるようになります。
関連記事:
【音声付き】英語の発音記号一覧|英語の「音」に挑戦してみよう!
リズム
日本語は、すべての単語をほとんど同じ強さで発音する、リズムが平坦な言語です。それに対し英語は、文中に特に強く長く読む箇所を設け、抑揚を大きく付けます。
英語ではどこを強く読むかによって文の意味自体が変わるため、正確なコミュニケーションを取るためにもリズムの習得が必須です。
関連記事:
英語はリズム感が超重要!4つの基本ルールと簡単トレーニング法を紹介
英語思考
頭にある考えを直接英語にできる「英語思考」の回路を構築することも、英語学習の初期にやっておきたいことの一つです。
英語の筆記テストでは、一度日本語に訳してから考える時間があるかもしれませんが、実際の会話では日本語に訳す時間はありません。思考を英語表現と直結させる意識を学習初期から強く持ち、その意識のもとですべての学習を進めることが大切です。
関連記事:
英語思考を自動化する4つのポイントとは?日本語との思考の差異も解説
基礎スキル習得のポイント
基礎スキルを正しい方法で、効率的に習得するためのポイントは2つあります。1つ目はネイティブスピーカーによるフィードバックを受けながら習得すること、2つ目は毎日少しずつ継続することです。
英語初心者のうちは、発声や発音などのアウトプットを、自分で正しく評価することができません。独学や非ネイティブスピーカーの指導のもとで発声や発音を練習すると、世界標準とは異なる発声や発音、リズム感などが染み付いてしまうおそれがあります。
一度身体で覚えたものを修正するのはなかなか難しく、時間がかかるものです。したがって、基礎スキルを習得する際には、はじめからネイティブスピーカーのフィードバックを受けられる環境を選びましょう。
そして、基礎スキル習得に向けた練習は、一度にたくさんやるのではなく、毎日少しずつ継続するのがポイントです。
発声・発音は身体運動の一種なので、アスリートにとってのトレーニングや、ミュージシャンにとっての楽器の練習と同じようなものと捉えましょう。一度に詰め込んで勉強するのではなく、毎日少しずつの積み重ねで「英語筋」を育ててください。
【上級者向け】効果的なシャドーイングの方法
上級者に向けて、具体的なシャドーイングのやり方を解説します。
プロソディ・シャドーイング→コンテンツ・シャドーイングの順で行なう
シャドーイングを行なう際には、まずプロソディ・シャドーイングで音をつかむスキルを磨き、そのあとコンテンツ・シャドーイングで音の意味をつかむことが大切です。
現在シャドーイングに取り組んでいる場合には、正しい順序で行なっているかを見直してみてください。
他の学習法と組み合わせる
シャドーイングだけで英語力を上げようとせず、他の方法と組み合わせることも重要です。ここでは、「ボトムアップ・シャドーイング」「トップダウン・シャドーイング」という2つの組み合わせ方を紹介します。
ボトムアップ・シャドーイング
ボトムアップ・シャドーイングとは、初見の教材に対して、いきなりシャドーイングから学習を始める方法です。内容を何も知らない状態でシャドーイングを始めるので、必死で音声を聞き取ろうという姿勢になりやすいのが、この方法のメリットです。
ボトムアップ・シャドーイングは、一般的に以下の手順で行ないます。
- シャドーイングする
- テキストを目で追いながらシャドーイングする(最初に聞き取れなかった理由の検証)
- 音読をして意味を確認する
- テキストを目で追いながらリピーティング(一文ごとに音声を止めて繰り返し発音)する
- テキストを目で追いながらオーバーラッピング(音源とぴったり同じタイミングで発音)する
- ルックアップ&セイ(テキストを目で追いながら一文聞き、音声を止めてテキストから顔を上げて暗唱)をする
- テキストなしでリピーティングする
トップダウン・シャドーイング
トップダウン・シャドーイングとは、最初にシャドーイング以外の学習方法を重ね、最終的にシャドーイングで仕上げる方法です。文の内容や構造を理解したうえでシャドーイングをすることで、単語・文法の知識を身体に染み込ませやすいというメリットがあります。
トップダウン・シャドーイングの一般的な手順は、以下のとおりです。
- テキストなしでリスニングする
- テキストを目で追いながらシャドーイングする(意味がわからないところ、発音が難しいところをマークする)
- 音読をして意味を確認する
- テキストを目で追いながらリピーティング(一文ごとに音声を止めて繰り返し発音)する
- テキストを目で追いながらオーバーラッピング(音源と同時に発音)する
- ルックアップ&セイ(テキストを目で追いながら一文聞き、音声を止めてテキストから顔を上げて暗唱)をする
- テキストなしでリピーティングする
- シャドーイングする
これら2つのどちらを行なうかは、目的に応じて決めるとよいでしょう。これらの方法を、どちらも実施する必要はありません。
ただし、ボトムアップ・シャドーイングのあとにトップダウン・シャドーイングを行なうのが一般的です。
シャドーイングを行なう際の注意点
シャドーイングに取り組む英語上級者に向けて、効果を上げるために気を付けるポイントを解説します。
自分の興味・関心にあう教材を使う
シャドーイングを行なううえで重要なポイントは、教材の選び方です。シャドーイングは上級者にとって高い効果を期待できる学習方法とはいえ、なんとなく取り組むだけでは効果が半減してしまいます。スピーカーの気持ちになって、実際の場面を鮮明にイメージしながら取り組むことが、シャドーイングではとても大切です。
したがって、シャドーイングの教材には、自分自身が興味を持てるテーマや、実際の生活・仕事で使えそうな身近な内容のものを選ぶとよいでしょう。難しすぎるものは避け、理解しやすい内容のものから始めてみてください。
TED Talksのようにスピーカーが誰かに語りかける形のスピーチは、場面をイメージしやすいため、シャドーイングに適しています。また、PodcastやNetflixのようなサービスも、興味のあるコンテンツを見つけやすいのでおすすめです。
しっかりと声を出す
小さな声でぼそぼそと真似していても、シャドーイングの効果はあまり得られません。実際に誰かに話しかけるようなつもりで、しっかり響く声を出すことが大切です。
なお、英語の発声法は日本語の発声法とは大きく異なります。身体の深いところから声を響かせる、英語ならではの発声法については、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:
英語上達のカギは「発声法」にあり!トレーニングの方法やポイントを解説
1回限りの練習で満足しない
シャドーイングに限らずどのような学習方法にもいえることですが、1回で満足するのではなく、継続して取り組むことが大切です。
ただ練習を繰り返すだけでなく、自分のアウトプットがどうだったかを考えたり、録音を聞き直したりして確かめて、弱点を見つけることも重要です。同じ教材を何度も繰り返して、弱点を克服していくとよいでしょう。
シャドーイングの効果が出ないときのチェックポイント
「現在シャドーイングに取り組んでいるものの、あまり効果を感じられない」という方もいるかもしれません。そういった方に向けて、チェックしたいポイントを2つ紹介します。
基礎スキルは身に付いているか?
シャドーイングは「聞く」「話す」を同時に行なう高度なトレーニングであり、あくまでも英語上級者のための学習方法です。基礎スキルをマスターできていない状態でシャドーイングに取り組んでも、学習効果は期待できません。音やリズム、発声や英語思考などの基礎スキルに不安がある方は、まずそれらの基礎を身に付けることに集中しましょう。
なお、初心者や中級者の場合、英語の音やリズムを自分自身で評価するのは非常に困難です。誤った形で基礎を構築しないためにも、ネイティブスピーカーからのフィードバックを受けながら、基礎スキルを習得することをおすすめします。
作業のようになっていないか?
基礎をしっかり身に付けてからシャドーイングに取り組んでいるのに、なかなか効果が出ない場合、シャドーイングが「作業」になっている可能性があります。音声の内容が実際に話されている場面をイメージしながら、ハキハキと大きな声で話せているか、チェックしてみてください。
どうしても内容に興味が持てず、作業的になってしまうなら、教材を変えてみると良いかもしれません。例えば、TED Talksのように、スピーカーが誰かに向かって話しかけているタイプの音声などに変えてみましょう。そのなかでも、自分が興味のある分野や、仕事・趣味に関連する分野の音声を使うと、感情移入しやすくなるはずです。
シャドーイングは上級者向けの学習法!基礎を身に付けてから導入を
シャドーイングはもともと同時通訳の訓練法であり、英語上級者が取り組んでこそ効果を見込める学習方法です。上級者の方は本記事で紹介した内容を参考に、シャドーイングでさらなる高みを目指してください。
一方、英語学習を始めたばかりの初心者や中級者がシャドーイングを導入することは、あまり効率的ではありません。英語学習では、学習の順番がとても大切です。まずは「発声法」「音」「リズム」「英語思考」の4つのスキルを、しっかり身に付けるところから始めましょう。
GSETでは、ネイティブスピーカーの指導によって、この4つの基礎スキルを最短でマスターできる独自のレッスンを提供しています。毎日のトレーニングに必要な時間は約30分なので、忙しいビジネスパーソンでもスキマ時間に取り組みやすいでしょう。
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