「日本人の英語力は世界的に見てどのくらいのレベルなのだろう?」と考えたことはありませんか?
先日発表されたEF英語能力指数ランキングによると、日本人の英語力は世界112ヵ国中78位という結果でした。

英語と日本語の言語構造が異なることや、日本では英語を使わなくても生活できてしまうこともあり、なかなか日本人の英語力は上がりません。しかし、今後日本では外国人労働者の流入が増える見込みもあり、英語力をアップさせていくことは、日本人にとって喫緊の課題といえます。

そこでこの記事では、世界の各地域での英語力ランキングや、日本人の英語力が低い原因のほか、日本人が英語力をアップさせることで得られるメリットについて紹介します。

英語力ランキングに用いられる「EF EPI能力指数」とは?

先日、EF英語能力指数ランキングの2021年版が発表されました。

大手語学学校のEF(Education First)が行なっているEF SET(英語標準テスト)の受験データをもとにして、世界各国の英語力を数値化したものがEF EPI能力指数です。

インターネット環境があれば無料で誰でも受験でき、35歳未満の受験者が約8割と若年層が多い傾向にありますが、英語テストとして信頼が高いTOEFLやIELTSとも相関関係があるとされています。

なお、2000年版は100ヵ国・地域の参加でしたが、最新の2021年版では、新たに12ヵ国が加わり、合計112ヵ国・地域となりました。

2021年英語力国別ランキングの結果と傾向

それでは、EFのデータをもとに、ランキングの結果や傾向を紹介していきます。
上位の国や特徴のある国については、順位の理由などについても考察していくので、ぜひ参考にしてください。

英語力ランキング、世界1位はオランダ

2021年英語力ランキング、世界1位はオランダでした。

オランダは今回を含めた過去11回のランキングで1位を計5回獲得しており、オランダ国民のほとんどが英語を話せるといわれています。

オランダの小学校は8年制ですが、1年生(4歳)から毎日最低1時間英語の授業があります。英語とオランダ語のバイリンガル教育を導入している学校も多く、英語でさまざまな教科を学ぶことで、自然と英語が身に付いていくのでしょう。

さらに日常生活でも、テレビ番組は英語音声+オランダ語字幕という環境であるため、オランダ人にとって英語は日常的に触れる言語なのです。

オランダ語の語源が英語に近く、他言語話者と比べると習得しやすいのは確かです。しかし、学校教育や日常生活で英語に触れる時間が長いことが、世界1位の英語力を持つ最大の要因でしょう。

日本の英語力ランキングは、112ヶ国中78位

日本の英語力ランキングは11年連続で下降しており、最新のランキングでは112ヵ国中78位でした。レベル評価は、5段階に分けられたレベルのうち、4番目の「低い」にあたります。

ランキングの対象国数が増えているとはいえ、前々回は88ヵ国中49位、前回は100ヵ国中53位だったことを考慮すると、大きく下降していることがわかります。

なお、500人以上の受験者がいる国を対象としたTOEICテストの国別スコアランキングでも、日本は世界32ヵ国中27位という結果でした。

参考:
ETS|TOEIC L&R 2018 Report on Test Takers Worldwide

英語力ランキング【アジア諸国編】

地域別に見ると、アジア諸国では1位はシンガポール(世界ランキング4位)、2位はフィリピン(世界ランキング18位)と、英語が公用語である国がランキング上位に位置しています。さらに、3位にマレーシア、4位に香港が続き、日常的に英語をあまり使わない韓国が5位と健闘しているなか、日本はアジア24ヵ国中13位という結果でした。

アジアでは、貿易の拡大やテクノロジーの発展にともない、シンガポールやフィリピン、マレーシアをはじめとした英語能力が高い国々が、急速な経済成長を遂げています。その一方で、英語能力が低い国として、世界ランキング下位10%内にタイ、キルギス、タジキスタンが入るなど、国による格差が大きいことが伺えます。

英語力ランキング【ヨーロッパ諸国編】

世界ランキング上位10ヵ国のうち、9ヵ国がヨーロッパ諸国であることからわかるように、ヨーロッパは世界でも圧倒的に英語力が高い地域といえるでしょう。

仕事や旅行で国境を越える機会が多く、英語のコミュニケーションが日常的に行なわれていることが、その理由の一つでしょう。隣国とのビジネスも盛んであるため、世界共通語である英語で、問題なく意思疎通できるようにしておく必要があるのです。

ヨーロッパのなかでは順位が低めであるイタリアとスペインは、その英語力の低さが他国とのビジネスにも悪影響を与えているといわれています。それでも、イタリアとスペインの英語レベルは5段階のうち3番目(標準的)と、日本よりは高いレベルです。

英語力ランキング【中東諸国編】

中東諸国の英語力は全体的に低く、世界ランキング34位のレバノン、英語レベルは5段階のうち3番目(標準レベル)が最高となっています。

しかし、69位のアラブ首長国連邦は、ドバイに住む人のうち9割が外国人であることから、実質的な公用語が英語となっています。ドバイには語学学校も多数あり、世界中から留学生が英語を学びに来ています。

最近では、ドバイやカタール、イスラエルなどで欧米の大学がキャンパス展開を行なっているため、若い世代を中心に英語を話せる人が増加しつつあります。

世界ランキングを見ると、まだまだ中東諸国は英語力が低いという印象がありますが、ドバイやカタールなどの地域では、今後の英語力の成長が期待されるでしょう。

英語力ランキング【アフリカ諸国編】

アフリカ諸国では、南アフリカ(12位)、ケニア(21位)、ナイジェリア(29位)が世界ランキング上位に位置しています。アフリカ諸国は、国ごとで英語力に差があるだけではなく、同じ国でも都市と地方での経済格差、教育格差がとても大きいのが特徴です。

アフリカ大陸には未開発の市場が多数あり、世界中の起業家や投資家が熱視線を送っています。しかし、多くのビジネスや資本を引き込むためには、世界共通語である英語でのコミュニケーションが欠かせません。したがって、アフリカ諸国は今後、国民の英語力の底上げのための取り組みにより一層力を入れていくでしょう。

英語力ランキング【中南米諸国編】

中南米諸国では、世界ランキングでアルゼンチンの30位が最も高く、アフリカ諸国同様、国による差が大きくなっています。

この地域での興味深い取り組みとしては、コスタリカが国を挙げて英語教育に投資を行なっていることが挙げられます。学校での英語教育の時間数を増やし、バイリンガル教育を取り入れるなどしています。

その成果が少しずつ現れ始め、コスタリカは前々回、前回とランキングが上昇しました。今年は前回の36位から順位を落とし44位となりましたが、着実に英語力を伸ばしています。

日本の英語力ランキングが低いおもな理由

日本では、2020年度から小学校で英語教育が必修化されました。

小学校3年生から外国語活動、5年生からは英語が教科となり成績もつくようになったのです。それにともない、中学以降の英語教育カリキュラムも変更され、大学入試改革も行なわれています。

このように、日本の教育も変わりつつありますが、依然として日本の英語力ランキングは低いままです。以下で、そのおもな理由を述べていきます。

英語ができなくても、生活に不便がない場合が多いから

日本は市場規模が大きく、店に並ぶ品物や書籍、テレビ番組などはすべて日本語で提供されています。そのため、英語ができなくても不便を感じることはありません。

先述した世界ランキング1位のオランダのように市場規模が小さい国は、テレビ番組が英語で提供されるなど、母国語のコンテンツが少なくなる傾向があります。そのため、情報を得るためには英語を理解しなくてはならないのです。

日本のように、英語ができなくても問題なく快適に生活できる環境があれば、仕事や勉強で英語が必要な人以外は英語力がなかなか上がらないのも無理はありません。

外国人の人口がわずか2%だから

2020年の国勢調査によると、日本の人口は約1億2,600万人で、そのうち外国人は約2%(約256万人)しかいません。

さらに、その2%の外国人のなかには、日本語を話せる人や母国語が英語以外の人も数多くいます。つまり、日本では英語でコミュニケーションを取る必要性のない人が大半なのです。

前述したドバイのように、住人の9割が外国人というような地域では、英語がコミュニケーションの共通言語となります。しかし、日本のように外国人の人口が少ない国では、英語を使う機会がほとんどないため、英語力はなかなか上がりません。

日本語と英語では、「基盤(OS)」と「言語構造」がかけ離れているから

学校教育や各企業で、英語力向上のためにさまざまな取り組みがなされています。しかし、日本語と英語では基盤(OS)と言語構造がかけ離れているため、なかなか英語力が上がらないのです。

基盤(OS)とは、音やリズム、思考方法にあたります。英語を自然に使えるようになるには、繰り返しこれらの要素を頭に擦り込む訓練をして、英語の基盤を構築していかなければなりません。
一生懸命英語学習に取り組んでいるのに、一向に聞き取れるようにならない、話せるようにならない、という方は、日本語の基盤(OS)から離れられていない可能性が高いです。

また、日本語と英語では、言語構造にも大きな違いがあります。
日本語はSOV(主語+目的語+動詞)という順番で文章が構成されますが、英語では基本的に、SVO(主語+動詞+目的語)という順番になります。こういった文の構造の違いは、多くの日本人英語学習者を悩ませる要因の一つとなっています。

アメリカ国務省付属機関のFSIの調査によると、「英語話者がフランス語を習得するには600時間しかかからないのに対し、英語話者が日本語を習得するには2,200時間もかかる」とされています。このように、言語構造の違いは外国語の習得スピードに大きな影響を与えるのです。

関連記事:
日本語と英語の6つの違いとは?英語学習のカギとなるポイントを詳しく解説

日本人のビジネスパーソンが英語力をアップさせるメリット

最後に、日本人のビジネスパーソンが英語力を向上させることによって得られるメリットについて紹介します。

海外企業とも仕事ができるようになる

一定以上の英語力があれば、海外企業が相手でも臆せず、スムーズに仕事ができるようになります。

特に近年は新型コロナウイルスの影響により、世界中で一気にリモートワークが普及しました。現地に出向かずとも、オンラインで会議を行なえる環境が整ったため、以前よりも素早くプロジェクトが立ち上がるようになり、結果として海外企業とのビジネスの活性化につながっています。

このような状況下で、世界レベルの英語力が身に付いているビジネスパーソンは、多くのチャンスをつかむことができるはずです。「世界を相手にした大型プロジェクトに携わりたい」「より重要な意思決定ができるポジションに就きたい」と考えている方は、英語を学んでおいて損はないでしょう。

関連記事:
海外赴任が決まったのに英語ができない……起こりうる問題と英語上達のヒントを解説

外国人労働者の増加にも対応できるようになる

日本では人口減少が続いており、この先も働き手となる若い世代の人口が増える見込みは薄いとされています。

近い将来、労働人口の不足を補うため、多くの企業が外国人労働者に頼らなければならない時代がやってくるでしょう。そしてそのような状況下では、高い英語力がより重要視されるようになることが予想されます。

企業、ひいては国の発展のためにも、日本人の英語力の強化は社会全体で取り組むべき課題であるといえます。

就職・転職活動を有利に進められる

海外との取引が多い企業はもちろん、海外進出を目指す企業への就職・転職を目指す場合にも、高い英語力は非常に重宝されます。

日本人の英語下手は世界的にも有名ですが、だからこそ「英語ができる人材=能力が高い」と判断されやすいともいえます。希望する業界や職種の専門知識にプラスαのスキルとして、英語力をアピールできれば、ライバルに大きく差をつけることができるでしょう。

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英語ができると有利になる仕事17選!初級~上級までレベル別に解説

国際社会で活躍するには、英語力がカギとなる

最新の英語力ランキングで、日本は112ヵ国中78位と厳しい結果でした。英語力が高い人がいる一方で、まったく英語力がない人もいるのが現在の日本の状況です。

今後、人口が減っていくと日本の国内市場は縮小し、今まで日本国内だけで完結していた企業も海外進出を余儀なくされるでしょう。これからの時代を生き抜いていくためには、日本国内だけではなく、海外に目を向けることが必要になります。

国際社会で活躍するためにも、ストレスなくコミュニケーションが取れる英語力をぜひ身に付けておきましょう。

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