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英語学習の難しさの一因は、日本語と英語がさまざまな面で大きく異なることにあります。しかしその違いは、英語を学ぶ楽しさでもあるでしょう。

英語は日本語にはない特徴を持った言語だからこそ、学ぶことで新たな視点を得られます。これは、英語学習に限らず、外国語学習が持つ醍醐味です。

そうはいっても、日本語と英語がどのように異なるのかを詳しく考えたことがない方も多いかもしれません。そこで今回は、日本語と英語のおもな違いとして6つの項目を取り上げて解説します。ぜひ、今後の学びに役立ててください。

日本語と英語の違い(1)語順が異なる

日本語と英語を比べたときに大きく異なるのは、一文のなかで単語が並ぶ順番です。

日本語はSOV(主語+目的語+動詞)という語順で文章が構成されますが、英語ではSVO(主語+動詞+目的語)という語順が基本となります。

[例文]
・私は ラーメンを 食べる。
・I eat ramen.

また、日本語と英語では、語順の変化に対する許容範囲も違います。日本語ではたいていの場合、たとえ語順が変わったとしても、おおよその意味を理解してもらえます。

しかし、英語は厳密に語順が決められている言語であるため、語順が変わるとまったく通じなかったり、文章の意味そのものが変わってしまったりするのです。

(例文)
・私は 食べる ラーメンを(意味は理解できる)
・Ramen I eat(「私が食べるラーメン」と意味が変わってしまう)

したがって、英語を学習するときは、語順のルールをしっかり意識することが大切です。いくら語彙を増やしても、語順を無視して単語を並べてしまうと伝わりません。英語の語順に慣れて、自然とSVO(主語+動詞+目的語)の順番で話せる状態を目指しましょう。

日本語と英語の違い(2)発声法が異なる

日本語と英語では、声の出し方が異なります。日本語は、鼻や口先を使って比較的平坦な音で話される言語ですが、英語は喉や胸を管楽器のように使い、響きのある声で話す言語です。

以下に、発声の違いが理解できる音声を用意しました。

・日本語×日本語発声
・日本語×英語発声
・英語×日本語発声
・英語×英語発声

話している言語と発声法にズレがあると、不自然に感じるのではないでしょうか。「日本語×英語発声」の音声からは、英語の発声を使うと「日本語でもこんなに音が変化するのか」と驚くかもしれません。

日本語の発声では出ない音が、英語の発声では出ます。したがって「英語×日本語発声」の音声からもわかるように、日本語発声で英語を話しても、うまく通じないのです。

「正しい語順と文法で英語を話しているのに、一発では通じない……」という、よくある悩みの要因の一つは、この発声法の違いにあります。

英語の発声法のコツは、日本語よりも息を吸い込み(日本語の5倍の量が必要)、喉仏を下げる感覚で喉の空間を広げ、深い声を出すことです。喉に手を当てて震動を確認しながら、少しずつ共鳴を大きくしていくイメージで練習してみてください。

参考記事:
英語上達のカギは「発声法」にあり!トレーニングの方法やポイントを解説

日本語と英語の違い(3)音が異なる

日本語と英語では、使われる音にも違いがあります。本章では、音の面での違いを詳しく見ていきましょう。

日本語と英語の「音」には、大きな違いがある

英文を構成するアルファベット一つひとつと、その組み合わせには固有の「音」が存在し、その音は日本語と大きく異なります。そして、英語で使われる音は日本語で使われる音よりもたくさんあります。したがって、正しく英語を話すためには、英語独自の音を新しく覚えることが求められるのです。

例えば、日本語表記では同じ「ロー」でも、law(法律)とlow(低い)の音はまったく異なります。

・law(lɔ́ː):法律
・low(lóu):低い

この2単語でいうと、「aw」と「ow」のスペルの違いが、音の違いにつながっています。「aw」のときはこの発音、「ow」のときはこの発音というように、スペルごとの音を一つひとつマスターすることで、どのような単語でも自然に発音できるようになるでしょう。

また、英語の「音」を繰り返し身体に染み込ませることで、スピーキング、リスニングへの苦手意識も一気に克服できるはずです。

人間は基本的に、自分が発することのできる音しか聞き取れません。したがって、音への理解を深め、正しい音を発するスキルを身に付けることは、リスニング力上達の最短コースだといえます。

発音トレーニングの下地として、まずは英語の音のルールを理解するところから始めましょう。以下の記事では、英語の発音ルールについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

参考記事:
【音声付き】英語の発音記号一覧|英語の「音」に挑戦してみよう!
【音声付き】英語力を高める4つの発音ルールと併せて習得したい基礎スキル
英語の「音」を学べるフォニックスとは?独学での学習方法を紹介します

母音の数の違い

日本語の母音は「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」の5種類しかありません。一方、英語には分類法によって20種類以上の母音が存在します。例えば、日本語の「ア」に相当する母音だけを数えても、英語には4種類の音があるのです。

[日本語の「ア」に相当する英語の音]

発音記号 該当する音が含まれる単語
æ cap, hat, tap
ʌ cup, hut, luck
ɑ hot, lock, top
ə ago, about, sofa

音の違いの章でも触れたとおり、英語は日本語に比べて、音のバリエーションが圧倒的に多い言語です。したがって、英語でコミュニケーションを取るには、それらの音を正しく聞き分け、正しく使い分けるスキルが必須といえます。

母音は、どの単語にも必ず存在する重要な音です。日本人からすると、母音がたくさんあることはイメージしづらいかもしれません。しかし、音のルールを理解したうえで正しい方法でトレーニングを重ねれば、誰でもうまく英語の音を話せるようになります。

まずは第一歩として、「英語の母音はたくさんある」ことを理解しておきましょう。

参考記事:
【音声付き】英語の発音記号一覧|英語の「音」に挑戦してみよう!

子音の数の違い

母音と同様に、子音の数も日本語より多いのが英語の特徴です。日本語の子音は13種類ですが、英語には22種類もの子音があります。

さらに、英語の子音は無声音と有声音に分かれます。無声音は喉に手を当てて発しても振動を感じない、空気だけが抜けていくような音で、有声音は喉に手を当てて発すると振動を感じる音です。なお、母音はすべて有声音です。

日本人が苦手な「L・Rの発音問題」なども、この子音のバリエーションの多さが原因といえます。カタカナで書くと同じ音でも、英語本来の発音はまったく異なるというケースはよくあります。この違いをしっかり認識して、自分でも使い分けることができれば、相手の発音も正確に聞き取れるようになるでしょう。

英語の音について理解するとき、頼りになるのが「発音記号」です。単語学習の際にも発音記号を確認し、音までセットで覚える習慣をつけてください。

参考記事:
【音声付き】英語の発音記号一覧|英語の「音」に挑戦してみよう!

日本語と英語の違い(4)リズムが異なる

あらゆる言語には特有のリズムがあり、日本語と英語を比べても、リズムの面で大きな違いがあります。

日本語は、すべての音節(シラブル)を均一に発音します。一方、英語は抑揚の大きな言語であり、ストレス・アクセント(強勢)で強弱をつけることによって、話の要点やポイントを伝えます。

そのため、日本語の平たいリズムで一生懸命に英語を話しても、なかなか聞き取ってもらえません。正しい文章を話していたとしても、ネイティブスピーカーには意味を持たないマシンガンの音のようにしか聞こえないのです。

先ほど述べた正しい音に加えて、リズムも正しくなければ「伝わる英語」にはなりません。「発音は良いのに、どこか不自然だな」と感じさせる英語は、リズムの面に問題がある可能性があります。

また、英語は書き表すとまったく同じ文章でも、どこにストレス・アクセントを置くかによって伝えたいポイントを変えられる言語です。英語では、リズムも含めて意思表示をするため、そのリズムを感じられなければ、コミュニケーションをうまく取れません。

リズム感というと、生まれ持ったものというイメージがあるかもしれませんが、練習すれば誰でも英語のリズム感を身に付けられます。英語のリズムについては以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

参考記事:
英語はリズム感が超重要!4つの基本ルールと簡単トレーニング法を紹介

日本語と英語の違い(5)思考方法が異なる

人は、脳内で無意識に言葉を使いながら物事を考えています。この記事を読んでいる方も、「そうかな?」「たしかに」など、なんらかの言葉を発しながら内容をつかんでいるはずです。

先に述べたとおり、日本語と英語では語順に違いがあります。つまり、日本語で考えている場合と英語で考えている場合とでは、思考の順番が変わります。したがって、日本語と英語では思考方法が根本的に異なるのです。

動詞が文章の最初のほうに来る英語では、文章の序盤に重要な情報が入ってきます。一方、動詞があとのほうに置かれる日本語は、最後まで文章を見聞きしなければ、全体の意味がわかりません。その例を以下に挙げてみます。

[例文]
・私は ラーメンを 食べない。(食べるか食べないかは、最後の単語までわからない)
・I don’t eat ramen. (食べない、というメイントピックが序盤でわかる)

逆に考えると、英語をスムーズに話すには、思考法を変える必要があるといえます。例えば、結論を最初に考える習慣をつけることで、すらすらと英文が出てくるようになるでしょう。

英語思考の邪魔になるのが、「まず日本語で考えて、英語を日本語に訳してから理解する」という思考フローです。日本語を挟むクセがついていると、実践的な英語を身に付けることはできません。

頭のなかでも常に英語を使うには、概念そのものと英語を直結させる回路を構築することが大切です。ネイティブスピーカーでなくとも、強く意識してトレーニングすれば英語専用の思考回路は築けます。心に浮かんだイメージを、直接英語で表す練習を重ねましょう。

日本語と英語の違い(6)主語の重要性が異なる

日本語の会話では、主語の省略がひんぱんに起こります。しかし英語の場合、主語は文章の核であるため、原則として省略できません。

[例文]
・学校に行ってくるね!(主語は当然のように「私」であると理解される)
・go to school(「誰が」という重要な情報が抜けており、理解してもらえない)

この例を見ると、英語では主語がないと話が通じないということがわかります。

主語の重要性と関連していえるのは、日本語では曖昧で間接的な表現が多用される一方、英語は論理的で、細部についても明言しなければ通じないということです。

例外的に、SNSの投稿などでは主語が省略されるケースもよくあります。しかしまずは、必要なパーツをもれなく含む、正しい英語をアウトプットできるようにするべきでしょう。特に、ビジネスシーンやアカデミックなシーンでは、論理性が非常に重要視されます。

思考方法の違いにも重なりますが、英語を話すときには「主語を明確に意識して、論理的に考える」という英語モードの思考を行なうことが必要です。このことからわかるように、新たな言語を学ぶことは、新たな考え方を学ぶことともいえます。

英語モードをマスターし、日本語モードと自在に切り替えることができれば、思考の幅が広がり、より多角的な視点で物事をとらえられるようになるでしょう。

英語と日本語は、大きな違いのある言語である

今回は、日本語と英語との違いを6つ取り上げて解説しました。英語には日本語にはない特徴がたくさんあります。日本語との違いを具体的に知っておくことで、重点的に学ぶべきポイントがわかり、学習効率が上がるはずです。

英語は日本語と大きく異なる言語だからこそ、英語を学ぶことで新しい思考方法を手に入れて、思考の幅を広げることができます。このように考えると、英語学習のモチベーションも上がるのではないでしょうか。

ぜひ今回の記事を参考にして、今後の英語学習をより効率的で、より楽しいものにしてください。

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