英語学習
英語多読の効果を上げる6つのコツとは?身近なおすすめ教材も併せて紹介
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英語学習の手段として、よく推奨されるものの一つが「多読」です。確かに、たくさんの英語に触れることは英語力の向上につながります。しかし、「何でも良いからとにかく大量の文章を読めば英語力が上がる」というわけではありません。多読の効果を十分に得るためには、いくつかのコツを押さえることが大切です。
そこで今回の記事では、英語多読の方法や効果を得るためのポイントなどを解説します。教材選びに迷う方に向けて、おすすめのテキストも紹介するので、ぜひ学習に活用してください。
記事の目次
英語の「多読」とは?「精読」との違いも解説
多読とは、文字通り「たくさん読むこと」を指します。文章の読み方にはいくつかの種類があり、多読はそのうちの一つです。
多読とよく比べられる読み方が「精読」です。精読は、一つひとつの単語の意味や文の構造を丁寧に理解する読み方で、日本の英語の授業でよく行なわれる「長文読解」や「リーディング」は、精読にあたります。
多読では一般的に、精読ほどの読解精度は求められません。その代わり、大量の英語をインプットすることを第一の目的とします。精読が「量より質」の読み方だとすると、多読は「質より量」の読み方といえます。
日本の英語教育に慣れ親しんでいる方は特に、「質よりも量を優先して本当に学習効果が得られるのだろうか?」と不安になるかもしれません。しかし、次に紹介するとおり、多読には多読のメリットがあります。
英語の多読で得られる効果
英語の多読に取り組むことで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。ここでは、多読の代表的な効果を4つ紹介します。
「英語思考」の構築に役立つ
多読は、英語を英語のまま理解する「英語思考」の構築に役立ちます。日本語訳を挟まずに大量の文章を読むことで、さまざまな概念と英語表現が直結する、いわば「英語専用の思考回路」ができあがるのです。
英語思考が身に付くと、英語を見聞きした際のレスポンスが速くなります。つまり、リーディング、ライティングにとどまらず、リスニング、スピーキングにも効果があるというわけです。
「がんばって勉強しているのに、なかなか英語を使いこなせない」という方は、多読に取り組んで日本語に訳してから考えるくせをなくすことで、学習の停滞から抜け出せるかもしれません。
関連記事:
英語思考を自動化する4つのポイントとは?日本語との思考の差異も解説
英語を素早く読めるようになる
多読によって大量の英文に触れるうちに、よく使われる言い回しや構文を「かたまり」で把握できるようになり、内容理解のスピードが上がります。
英語を読むのが苦手な人のなかには、一つひとつの単語にしかフォーカスできていない人が多くいます。一方で英語を読むのが得意な人は、意味のかたまりごとに内容をつかんでいけるという特徴があります。
かたまりで意味を把握するには、まず「どこからどこまでが一つのかたまりなのか」を判断する必要があります。これは、ある程度の量の英語に触れるなかで身に付いていく感覚です。多読は、この感覚を養う良い手段です。
さらに、都度日本語訳を挟むことなく英語を読んでいくことで、英語の語順どおりに内容を理解していくスキルも身に付きます。結果的に、リーディングスピードを遅くする要因である「返り読み」の習慣からも脱却できるでしょう。
語彙力・文法力が向上する
多読は、語彙力・文法力の強化にも役立ちます。単語帳や文法書のみで知識を学ぶ場合と異なり、文章のなかでの使い方まで含めて知識をインプットできることが、多読のメリットです。
単語に関しては、文章のなかでどのように使われるのか、いくつもの事例を見ることによって、その単語の核となるイメージやニュアンスをつかむことができます。
このようなプロセスを通じて、語彙や文法知識が自分のものになれば、ライティングのようなアウトプットスキルも向上するでしょう。
リスニング力やスピーキング力も間接的に向上する
英語を語順どおり、かたまりごとに理解していく力がつけば、聞き逃しが少なくなり、スムーズに内容を理解できるようになります。また、日本語を挟まず、意味と英語を直接結び付ける回路ができれば、思ったことをすぐに英語でアウトプットすることが容易になるでしょう。
ただし、リスニングやスピーキングの能力は多読だけで鍛えることはできず、音声面のトレーニングも必須です。リスニングとスピーキングに関しては、音声のインプット・アウトプットを行なう学習をメインとしつつ、多読でさらにスキルを強化するイメージを持つとよいでしょう。
英語を多読する際の6つのコツ
せっかく多読に取り組むのですから、できるだけ学習効果を高めたいものです。多読に限らずどのような学習方法にも、効果を得るためのポイントが存在します。以下で、多読を実践するうえでぜひ押さえておきたい6つのコツを紹介します。
自分のレベルよりも、少しやさしめの文章を選ぶ
最初のコツは、教材選びについてです。多読におけるテキスト選びでは、「少しやさしめ」のレベルにすることを意識してください。
多読では、後述のとおり辞書を引かないのが基本なので、難しい文章を選ぶと、意味がほとんど理解できず挫折してしまう可能性があります。
多読では、辞書を使わなくても7~9割の内容がわかる程度の文章を選ぶとよいでしょう。初心者は、挿絵の入ったものや子ども向けの文章から始めると、継続しやすいのでおすすめです。最初は「簡単すぎたかもしれない」というくらいでも構いません。やさしいものからスタートして、少しずつレベルを上げてみましょう。
興味を持てる文章を選ぶ
これは多読に限りませんが、学習のモチベーションを保つため、興味を持てるテキストを選ぶことが非常に大切です。
人は、興味のある対象について学ぶとき、より高い学習効果を得られます。また、学習効果を高めるには継続することが大事ですが、学習を継続するには「楽しく学べること」も必要です。
こういった観点から、多読の教材選びでは、自分の好きな分野や得意分野、興味を持てる分野の文章を選ぶことをおすすめします。例えば、ファッションが好きなら、英語圏のファッション雑誌やファッションメディアを教材にするのもよいでしょう。
辞書は原則使わない
多読では、原則として辞書を使用せずに文章を読みましょう。途中で知らない単語が登場しても辞書で調べず、前後の文脈から意味を推測して読み進めます。
どうしてもわからなかった箇所には印を付けておき、読み終わったあとに調べてください。このように取り組むことで、精読とは異なる学習効果を得られます。
わからないところは飛ばして先に進む
辞書を使わないこととも通じますが、多読では「多分こういう意味だろう」と内容を推測しながら読むのがコツです。
真面目に学習に取り組んでいる人ほど、意味のわからない部分があったときに不安になってしまうかもしれませんが、多読ではわからない部分があっても大丈夫です。むしろ、わからない部分が出てきたら、自分の推測力を鍛えるチャンスだと前向きにとらえてみましょう。
ただし、あまりにもわからない箇所が多いなら、教材のレベルが合っていないと考えられるので、少し簡単なものに変えることをおすすめします。あるいは、自分がより豊富な知識を持っている分野のテキストを選んでみると、読みやすくなることもあります。
返り読みをせず、前から読む
日本人英語学習者がやりがちな「返り読み」。返り読みをしてしまうのは、英語を読むときに、頭のなかで都度日本語に訳して考えている証拠です。スムーズに、かつスピーディーに英語を理解できるようになるためにも、多読を通じて返り読みの習慣を捨てましょう。
テキストを読むときには、英語の語順どおり、前から意味を理解していくことを強く意識します。一文を最後まで全部読みたくなる気持ちをぐっとこらえて、英語の語順に自分の頭を慣れさせてあげる気持ちで取り組んでみてください。
かたまりで意味を把握する
先ほど「前から読むこと」を推奨しましたが、前から読むといっても、一語ずつ意味を理解していくわけではありません。
重要なのは、「かたまりごとに内容を把握していくこと」です。かたまりごとに内容を把握していく読み方を「チャンクリーディング」といいます。
チャンクリーディングをマスターすれば、英語を読むスピードが大幅に上がります。また、かたまりごとに意味を把握することは、構文やコロケーションの定着にも効果的です。
例えば、「I know the girl you’re talking about.」という文があったとします。このとき、「私は / 知っている / その女の子を / あなたが / 話している / それについて」と一語ずつ訳すのではなく、「私はその女の子を知っている / あなたが話している」というふうに、意味のかたまりごとに把握しましょう。
最初は、「I know the girl / you’re talking about.」というように、区切りにスラッシュを書き込みながら読み進めてもよいでしょう。この読み方を「スラッシュリーディング」といいます。
英語の多読に使える身近な教材
ここまで、英語多読の効果や取り組むうえでのコツをお伝えしてきましたが、なかには「教材の探し方がわからない」と思っている方もいるかもしれません。そこで最後に、多読におすすめの教材を紹介します。
無料で入手できるものもあるので、ぜひ気軽に活用してみてください。
ニュース
まずおすすめしたいのは、英語で書かれたニュースです。インターネットが普及した現代では、ニュースサイトやニュースアプリを利用すれば、英語圏のニュースを手軽に読めるようになりました。英字新聞を読みたいときは、図書館で貸し出されていないか調べてみるとよいでしょう。
国際的なニュースであれば、事前に日本語ニュースで大意を把握していることも多いはずです。また、テキストの分量も少なめなので、気軽に取り組めます。このような意味で、ニュースは多読向きのコンテンツだといえるのです。
また、子ども向けにニュースを配信しているサイトもあります。子どもをターゲットとしたニュースは、簡単な単語で書かれていることが多いので、多読初心者にもぴったりです。
【おすすめニュースサイト】
・CNN News
・BBC
・NHK World-Japan
・The Japan Times
・Breaking News English
洋書
英語で書かれた書籍も、多読の対象としておすすめです。洋書のメリットは、興味を持てるテキストを選びやすいことでしょう。物語、ノンフィクション、ビジネス書など、さまざまなジャンルから自分の好きなものを選べます。
多読初心者は、子ども向けの書籍から始めるのがおすすめです。挿絵が多く表現が簡単なので、内容を推測しやすく、挫折を回避できます。
また、「Project Gutenberg」や「Manybooks」のように、版権の切れた洋書を無料で読めるサイトもありますので、ぜひ活用してみてください。数ある名作のなかから、お気に入りの1冊に出会えるかもしれません。
【無料で版権切れの洋書が読めるサイト】
・Project Gutenberg
・Manybooks
TED TalksやPodcastのスクリプト
リスニングやスピーキングの能力を上げるには、文字だけでなく音声のインプットも必要になります。
そこでおすすめなのが、TED TalksやPodcastのような、音声とスクリプトがセットになったコンテンツです。こういったコンテンツを選び、多読の教材としても音声面の教材としても用いることで、バランス良く技能を向上させることができます。
・TED Talks
・Apple Podcasts
・Google ポッドキャスト
Podcastの使い方やおすすめの番組については、以下の記事で解説しています。ぜひ併せて参考にしてください。
関連記事:
英語学習におすすめのポッドキャスト13選をレベル別に紹介
多読で英語のインプット量を増やし「英語思考」につなげよう
今回の記事では、英語の多読についてお伝えしました。多読の効果はさまざまありますが、なかでも特に大きいのが「英語思考」を構築できることでしょう。英語を英語のままで考えられる思考回路を確立すれば、総合的な英語力の向上が期待できます。
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